全国の精神病床数(ベッド数)は36万ほどです。
その患者数のほとんどが統合失調症の人で占められているのも確かです。
アルコール専門病院ではなく、一般の精神病院に入院したことのある人は、「統合失調症の人はこういうもの」というある種の固定観念を持ってしまいます。それは病院という閉鎖空間でいっしょに生活を続けたのだから、やむ得ないことでもあります。
統合失調症の人口罹患率は1%だといいます。日本には120万人あまりの患者さんがいることになります。病院のベッド数と考えてみると、患者さんの4人に3人は病院の外で社会生活をしているわけです。社会生活が営めないほど病状が悪化した人だけが(開放病棟とはいえ)病院という閉鎖空間に収容されるわけです。「こういうもの」という固定観念は、実は病状が悪化した状態だけから形作られているのです。
とはいえ、「理由もなくいきなり殴りかかってきたりはしない」ということも知っているわけですから、あながち偏見ばかりとは言えません。それと、「ああいう人と一緒にしないでほしい」という人もいますが、違うアルコール依存症という病気とはいえ、それが社会生活が営めないほど悪化して、病院という閉鎖空間に収容されたという点では同一なので、そういった意見に同情しようという気にはなれません。
僕はうつ病でありまして、特段それを隠してはいませんが、明らかにしてもいません。隠さないのはうつ病に対する社会の偏見が減ってきているからであり、明らかにしないのは、そうは言ってもうつ病であることを明らかにして就職することは難しい世の中であることも知っているからです。
うつ病の人間は、基本的に薬を止めて健康に生きたいと思っています。というか、ともかく薬は止めたいという願望は持っています。
統合失調症の人はもっと強い社会的偏見にさらされています。だから、たとえAAの中であっても、そうだとは明らかにしない場合が多いでしょう。彼らはかなり強い薬を飲んでいる場合も多く、副作用に苦しみ、そしてなによりも「薬を飲みたくない」という願望を持っています。彼らの姿が、精神病院で見慣れた「こういうもの」と明らかに違っているので、そうした病気を持っているとはとうてい思いつかないものです。
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